ブラジルのストリートチルドレンについて書かれた本


○「風みたいな、ぼくの生命―ブラジルのストリート・チルドレン」
ジルベルト・ディメンスタイン著、神崎牧子訳、現代企画室 1992年初版 ¥1800
原作は、Gilberto DimensteinA Guerra dos Meninos  Assassinatos de Meninos no Brasil Editora Brasiliense 1990 日本語版は、英語版“Brazil: War on Children Latin America Bureau,London 1991からの翻訳
ブラジルのストリートチルドレンと彼らを抹殺する「死の部隊」に関するブラジル人ジャーナリストのレポート
ビデオもあるようです。「路上の子どもたち ブラジル・ストリートチルドレンの闘い」詳しくは、アジア太平洋資料センター http://www.parc-jp.org/

○「路上の瞳―ブラジルの子どもたちと暮らした四〇〇日」
木村ゆり著、現代企画室 1999年 ¥2200
現地のNGOのストリートチルドレン救援活動に参加した日本人女性フォトジャーナリストによるレポート。巻末に現地の救援活動NGOの一覧がある。

○カンデラリア虐殺事件で起訴された警察官たちの裁判に関しては、世界子ども通信“プラッサ”第10(1999)の下郷さとみさんの報告『「ストリートチドレン虐殺事件」から5年』参照。


ブラジルの子どもたちの様子をえがいた映画(新しい順)


○ファヴェーラの丘(原題 Favela Rizing)
ジェフ・ジンバリスト(Jeff Zimbalist)、マット・マチャリー(Matt Mochary)監督、2005年アメリカ映画。ドキュメンタリー。1時間21分。
カンデラリア事件からひと月後の19938月末、麻薬組織コマンド・ベルメーリョと警官の抗争がもとで、ファベーラ・ビガリオ・ジェラルで21人の住民が警官に虐殺された。この事件で友人や弟を殺されたアンデルソン・サーらは、文化こそが暴力に対抗する手段になるはずだと立ち上がる。アフロレゲエ(地元の読み方ではアフロヘッギ)というグループを結成し、パフォーマンスやコンサートまた、子ども達に音楽を教えることを通して、ファベーラの中から自分たちの手で暴力と残虐な死に満ちた日常を変革していく。
公式サイトはhttp://www.nowonmedia.com/favela/
さらに詳しくは、下郷さとみさんのブログ http://hyakuishou.exblog.jp/ を参照してください
NHK BS 「きょうの世界」でも200842日に取り上げられた。ブラジル 無法地帯“ファヴェーラ”を改革せよ
アフロレゲエのサイトは http://www.afroreggae.org.br

○バス174(原題 Onibus174)
ジョゼ・パジーリャ(Jose Padilha)監督、2002年ブラジル映画。ドキュメンタリー。1時間59分。
2000
612日リオデジャネイロ。バス強盗に失敗し逃げ場を失った20歳の青年サンドロは、銃を手に乗客
を人質にとりバスにたてこもる。その様子は全国にTV中継され、人々を釘付けにした。その録画映像を時系列的に編集し直し、人質、警察、犯人サンドロを知る人々へのインタビューをからみ合わせ、この事件の真相と背景を同時に浮き彫りにしていく。極度の貧困とすさまじい暴力の中に生き、社会からは存在を無視し続けられ、失うものは何もないと思うまで追い詰められている人々と、豊かなブラジル経済の果実を享受している人々との間にある深い溝をさらけ出す。サンドロはカンデラリア事件の生き残りだった。イボネも登場し、カンデラリア事件から10年以上が過ぎ、子供たちの窮状への人々の記憶や関心は薄れていったが、事件は解決したわけでも終わったわけでもなく、現在も進行していると訴えている。当時19歳だったという人質の女性がサンドロに言った言葉が胸に刺さる「このバスで一番の被害者は誰だか知ってる?あなたよ」
2003
年コペンハーゲン国際ドキュメンタリー映画祭 アムネスティ賞、同年Newsweekドキュメンタリー・ベスト5選出、2005Peabody賞など様々な賞を受賞。200565日から渋谷ライズXで公開。順次全国へ。
2006
年1月DVDも発売されました。

○モロ・ノ・ブラジル(原題 Moro no Brasil)
ミカ・カウリスマキ(Mika Kaurismaki)監督、2002年ドイツ、フィンランド、ブラジル映画。1時間45分。ミカ・カウリスマキ監督がペルナンブーコ、バイア、リオを旅しながらさまざまなミュージシャンと出会い、彼らのライブ演奏とインタビューを通して、ブラジル音楽のルーツをたどっていくドキュメンタリー。ブラジル音楽のファンは必見の映画。音楽やダンスを通じて、自分たちのアフリカルーツの文化に誇りを持たせ、ファべーラに住む若者やストリートチルドレンの生活を立て直すグループの活動も紹介されており、感動的。公式サイトhttp://www.moronobrasil.com/

以下の4作品は、ドキュメンタリーではないが、ロケで撮影され、しかも貧しい子どもたちの役を演じたのが実際にファベーラ出身のしろうとであるなど、リアリティがあるので一見の価値があると思います。

○シティ・オブ・ゴッド(原題 Cidade de Deus)
フェルナンド・メイレレス(Fernando Meirelles)監督、2002年ブラジル映画。原作は、パウロ・リンスの同名のノンフィクション本。貧困層のために建設された、皮肉にも“神の町”という名の町。ドラッグ、銃、殺人そしてあらゆる暴力に囲まれる日常、そしてその再生産を描いた。2002年カンヌ映画祭出品。同年のハバナ映画祭で、ラテンアメリカの現実を描いている優れた長編作品(フィクション)に与えられるGlauber Rocha賞を審査員全員一致で受賞。2002年東京国際映画祭で特別上映され、2003年夏から全国で公開された。(東京:ヴァージンシネマズ六本木ヒルズ他)

セントラル・ステーション(entral do Brazil)
ウォルター・サレス(Walter Salles)監督、1998年ブラジル映画。1998年ベルリン映画祭金熊賞。サンダンス映画祭国際賞受賞。日本でも公開された。普通のレンタルビデオショップにもある


ピショット(Pixote)
エクトル・バベンコ監督。1980年ブラジル映画。1981年NY映画批評家賞、外国語映画賞受賞。1981年ロサンゼルス映画批評家協会賞、外国映画賞受賞。ファベーラ出身の少年が、主人公のピショットを演じ、暴力に満ちたブラジルの大都会での路上生活を描いたこの映画で迫真の演技をし注目された。
なお彼はその後またもとの生活に戻り、1987年に犯罪に巻き込まれ、警官に殺害されてしまった。それを機に警官たちの暴力を告発するWho Killed Pixote?「誰がピショットを殺したか」という映画が作られた。Jose Joffily監督。1996年ブラジル映画)

リオ40
ネルソン・ペレイラ・ドス・サントス監督。1955年ブラジル映画。50年以上前の作品とは思えないほど、リオの貧しい人々の今を暗示する作品。街頭ロケ、しろうとの起用は、上記3作品に受け継がれた。


そのほかの参考資料


「岩波ジュニア新書435 ストリートチルドレン」  工藤律子著 岩波書店 2003年 ¥780

「岩波ジュニア新書270 ハンドブック 子どもの権利条約」 中野光、小笠毅 編著 岩波書店 1996年 ¥780

    「子どもによる子どものための「子どもの権利条約」」 小口尚子、福岡鮎美 著 アムネスティーインターナショナル日本支部、谷川俊太郎協力 小学館 1995年 ¥1360

TVドキュメンタリー「地球環境と子供たち」 2003126日夜11時にNHKのBS1で放映された。リオ地球サミットの年(1992年)に生まれたブラジル、ケニア、中国、南ア、イギリスなど世界各地の6人の子どもたちの10年を追うドキュメンタリー。2002年にヨハネスブルグで再び地球サミットが開かれたのを機に、この子どもたちの10年を通して、「教育」「安全」「健康」「環境」など世界の指導者たちが、リオで合意した目標(アジェンダ21)が達成されたのか、されなかったのかをみる。
この番組は再放送されるかもしれないので、NHKに直接問い合わせるといいと思います。

○ブラジル:ボディ・ノスタルジア(ブラジル現代アートの展覧会)
東京国立近代美術館(2004725日まで開催)
京都国立近代美術館(2004817日〜920日)
中盤のインスタレーション、「デヴォ−ショナリア(祈り)」という作品(ディアス&リートヴェーク)はカンデラリアの子どもたちをはじめとするリオの路上の子どもたち600人あまりの手形・足形で構成された。背景には制作を記録した45分間の映像が流された。その映像には、亡くなったブラジルの飢餓対策キャンペーン主導者・社会学者ベッチーニョやイボネさんも登場し、子どもたちの現状・窮状を訴えた。子どもたちが、このアート作品を制作することに参加しながら自分たちの生活や夢をとつとつと語る場面、カンデラリアやビガリオ・ジェラルの虐殺事件に関する報道なども胸に迫ります。
2004
715日付朝日新聞夕刊に関連記事。

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