■椎間板ヘルニア治療
我々獣医領域にも椎間板ヘルニアの症例は数多くあります。特に有名なのはミニチュアダックスフンドで足が短く胴が長いため、脊椎の可動がおきやすく負重がかかりやすいことが原因と考えられます。ております。
当院でもこれまで突然立てなくなった子を数多く見て参りました。
椎間板ヘルニアと言っても人のそれとはかなりレベルが違うようで、我々が見るものは、飼主様が気づいてからの来院ですので脊髄損傷により足がへなついたり(不全麻痺)完全に後足が麻痺して立てなかったり(完全麻痺)とかなり症状が強いものが多く認められます。
我々獣医領域では椎間板ヘルニアといっても、治療は基本的にこういった脊髄損傷に対する治療となることが多く、ステロイドや非ステロイド系消炎剤(NSAIDS)あるいは手術などで治療をするのですが、これらは特に早い段階での処置が必要なことが人では分かっており、時間が経ってしまうとあまり意味がありません。特に人医領域では脊髄損傷の治療は二次損傷(一次損傷(ヘルニアなどの物理的損傷)後におこる炎症反応での免疫細胞による周囲の神経細胞への損傷)への早期の対応が重要だと言うことが分かって来ており、実は獣医領域で現在行っているヘルニアの手術はこの二次損傷をわざわざ作っていることになりかねず脊髄神経への損傷を助長している可能性も考えられます。実は手術で治ったと言うのは手術をしなくても治った。また手術で治らなかった症例は手術によって悪化させたと言うことになりかねない事が近年発表された論文等を踏まえ考えられます(Recovery of ambulation in small, nonbrachycephalic dogs after conservative management of acute thoracolumbar disk extrusion J Vet Intern Med
. 2024 Sep-Oct;38(5):2603-2611.)
そこで当院ではこの二次損傷をおさえるための治療を試みております。これはProceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America(米国科学アカデミー紀要 通称プロナス)と言う有名な医学雑誌に載った論文(P2X7レセプター阻害による脊髄損傷の治療)を元にやってみたのですが、ある特殊な薬剤を使った治療(副作用がなく、非常に安価)になります。現在50例以上の患者様で非常に良い結果が出ております(一週間の点滴治療で完全麻痺で来院されたダックス犬が普通に歩けるようになった。手術は一切行っておりません)。この治療はまだ人の世界でもやられておらず、獣医領域では話すら通じないのが現状です(人間の方では一部製薬会社で開発を進めているようです。獣医では大学ですら、この治療に関するレセプター名もら通じませんでした)。この治療が学術的に正しいとなると、現在獣医領域で行われているヘルニアの手術は逆に悪化させている可能性があることになります。実際、現在まで50以上の症例で手術せずに良化しており(95%以上)、実は治療前後のMRIで同じ程度椎間板が突出したままの症例が全く痛みも示さず走り回るようになっているという症例を確認しております。この事実は少なくとも獣医でやっている手術が必要ないことを示すものになります。また脊髄損傷の治療として再生医療の話が出るのですが獣医領域で行われている再生医療は今のところ全く話にならないレベルです。(ご注意ください)
現在大学および製薬会社の協力のもと製薬化に向けて開発中です(大学および当院で治験中ですのでご希望の方はお申し出下さい。特許取得)。難しい話になりますので、興味のある方は直接院長の島田までお問い合わせください。(当院でのこの症例データは人の医学雑誌 Frontiers in Neurology に2026.5 acceptされました。P2X7 Receptor Antagonism with Brilliant Blue G Promotes Functional Recovery in Spontaneous Canine Spinal Cord Injury: A Preliminary Study in a Large Animal Model)