オヤジ魂と温かいコーヒー
会社の1年後輩で、ワシに負けず劣らずオヤヂ風味が染み出ている野郎が、今日も勤務時間中に居眠りぶっこいている。その名をT井という。ちなみに、今回の話とは全く無関係だがヤツはベーシストだ。そんなゴルフが趣味なT井が、先日ワシに妙な質問を投げかけてきた。
「イトーさん、『トール』って知ってます?」
ハテナ?でもワシは先輩としての若さと威厳を保つ為、無理して捻った回答を返してみた。
「それって『ドトール』のこと?」
・・・捻り過ぎた。そこでT井は失敗した顔をして、
「あ、じゃ質問を変えます。スタバで注文て、できます?」
なるほど大体の状況は理解できた。どうやら、ヤツはスタバことスターバックスで注文ができないことを新人に散々イジメられた結果、ヘタレ仲間を増やすべくワシに振ってきたようだ。少々ワシは舐められているらしい。そこで、ワシは胸を張って答えた。
「できねぇ。」
そこで、スタバで注文するのは難しいよね。とワシらは瞬時に打ち解け、即席でオヤヂ連合を築いた。「トール」とはスタバでコーヒーのサイズを表す単語である。小さいサイズを「ショート」、大きいのを「グランデ」と言うらしい。小さい順に略すると「S,T,G」であり、今まで日常的にファーストフード店で使用していた「S,M,L」とは異なっているので分かり難い。それに加え「○○多めで」とかの微妙なトッピング?という不可解な自由度が存在することも相まって、スタバのオーダーは、ワシらにとって表示されているメニューだけでは理解不能な難解注文システムに成り果てている。
とはいえスタバは今現在、お洒落な若者に大ウケしており、スターバックスカードのシステム導入に関して大変な赤字をはじき出したものの、大幅な店舗拡張を行っていてノリノリであることは明白であるし、そのコーヒーが美味いことも確かである。
そこで、イマドキの若者にひけをとらぬよう、「スタバで素敵に注文するには、どうすればいいのか会議」が緊急で行われた。注文ができないために、独りでスタバに行くことが皆無なワシが現在、誰かと一緒に入店した際に使っている手法は、
「同じヤツで。」
である。それは偶然ワシが注文しようとした対象が、一緒にいた連中と同じであっただけであり、必ずしもワシが注文できないことにはならない巧妙かつ狡猾な手法である。その案はT井を十分に納得させたが、連続して使い過ぎると怪しまれるのでは?という弱点を指摘され、また思案に明け暮れることとなった。っつーか、仕事しようね。
で、最終手段として編み出された手段はというと、
「さっきの人と同じヤツで。」
である。大して変わりない。そこがオヤヂの悲しき限界点。1つ前にレジに並んでいた他人であろうと、偶然同じ商品を頼もうとしていたワケだからソレなんだよ的にねじ伏せる究極奥義である。この活気的な発案により「(隣のレジの客を指して)アノ人と同じヤツで。」などとモラルの限界を超えた応用例が続々と生まれ、これでワシらオヤジ達でも楽勝だな、という超自己満足的な結論に至る。
後日。
再度スタバに行くことがあり、周囲の客が、さも当たり前のように難解言語を操って注文している様を見てみぬフリをし、しかとメニューだけを睨みつけ、「ホット」で「ショート」の「キャラメルマキアート」を注文することに成功☆圧倒的な勝利の味。温かくて甘くてオイフィ~♪
対してもうカタワレが何を注文するのか聞いていたら、「ヘーゼルナッツの☆◎■~」とな・なんだそれは!?ワシは咄嗟にメニュー上に視線を走らせて「ヘーゼルナッツ」なる単語を探したが、その時は見つからず、結局相手が如何なる飲み物を口にしているのかの謎は黒いベールに包まれたままであった。絶望的な敗者の気分です。先程までの爽快感はいずこ。外を見たら雨が降っていました。冬が近いです。寒いです。手に持ったクリーミィなコーヒーで束の間の暖をとりました。まだまだスタバの奥は深いようです。
そんなことを朝コーヒーを飲みながらダラダラ書いていたら遅刻しそうになり、しかも会社に着くなり下痢。お陰で午前中一杯あるミーティングの前にコンビニ朝食サンドイッチを食えず、結局食ったのは昼過ぎの3時というワシには、コーヒーの似合う素敵な伯父様への道はまだまだ長いようですな。
さぁ御覧の皆さん。絶対にワシと同族の方がいらっしゃるはず。恥ずかしがらずにカミングアップ。そして「」のサイトにて商品情報を要チェキし、毎晩寝る前に己の必勝オーダーを3回唱えましょう。・・・ちょっと泣けてきました。 |
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